NCプログラム(NCデータ)

NCプログラムとは?
マシニングセンタ、CNC旋盤、ワイヤー放電加工機などNC工作機械を動かすためのプログラムのことです。「NCデータ」「Gコード」「プログラム」と呼ばれることもあります。
NCプログラムの中身は、アルファベットと数字を組み合わせたテキストデータでWindowsのアプリケーションであるメモ帳やワードパッド、またはNC制御装置で開いたり、編集することもできます。
職人が汎用フライスや旋盤を使用し熟練した技術で機械加工を行っていた時代に比べ、工作機械のNC化(数値制御化)により、同じNCプログラムを使用して同じ加工が何回も再現できるようになったため、ものづくりの生産性が大幅に向上しました。
NCプログラムの作成方法
NCプログラムの作成方法は主に3通りあります。
1.作業者が直接NCプログラムを入力する(手打ち)
作業者がアルファベットと数字をテキストベースで直接入力します。
手打ちのメリット
作業者の考えている通りに工作機械を動かせる
簡単なプログラム修正であれば、現場で変更できる
NCプログラム作成に関わるソフトウェアや制御装置のオプション費用が抑えられる
手打ちのデメリット
NCコードを熟知していないとNCプログラムを作成できない
文字の羅列を人がテキスト入力するため人為的ミスの確率が高くなる
難しい加工ができない
2.工作機械に付属される対話型プログラミング機能を使用する(対話)
工作機械のNC制御装置についている対話型プログラミング機能を使用します。
対話のメリット
現場で機械オペレーター自身がプログラムを作成できる
対象の工作機械用に作られたソフトであるため、出力されるNCプログラムに間違いがない
対話型なので操作がしやすい
対話のデメリット
手打ちほどではないが機能に制限があり、一部の加工ができない場合がある
専用のメーカーに限られたソフトであるため、複数メーカーの加工に対応できない
現場で機械オペレーターが作業するため、機械の稼働率が低下することがある
3.パソコンでCAD/CAMソフトを使用する(CAD/CAM)
パソコンにCAD/CAMソフトをインストールして、NCプログラムを作成します。
CAD/CAMのメリット
CADデータを有効活用できる
複雑な加工にも対応し、干渉チェック機能や工具負荷制御など機能が充実している
作業担当者、工作機械種類、メーカーに捉われずNCプログラムが作成できる
CAD/CAMのデメリット
ソフトの導入、運用に費用が掛かる
パソコンが苦手な人はモチベーションが上がりにくい
現場から離れてNCプログラムを作成するため、簡単すぎる加工は対話の方が早いことも
NCプログラムを構成する主なNCコード
アルファベットと数字で構成されるNCプログラムですが、主に以下のNCコードを使用します。
Gコード
Gは加工前の準備機能を表します。Gの後に特定の数字を入力することで、早送りや切削送りをはじめとした主軸やテーブルの動きや工具長、工具径の補正量を指令できます。
NCプログラム内では1番多く指令されるNCコードです。
Gコードとは
Mコード
Mは補助機能を表します。Mの後に特定の数字を入力することで、主軸の回転や停止、クーラントの供給や停止、切削工具の交換などが指令できます。
工作機械メーカーや軸構成、制御装置につけるオプションなどにより指令できるコードが変わり多種多様です。
Sコード
Sは主軸回転数を決めるものです。Sの後に数字を入力することで主軸の回転数および切削速度を指令します。
「切削条件」と呼ばれるもののひとつです。
Fコード
FはGコードで指令した「切削送り」における送り速度を決めるものです。Fの後に数字を入力することでテーブルや主軸の送り速度(動く速さ)を指令します。
「切削条件」と呼ばれるもののひとつです。
Tコード
Tは工具機能を表します。Tの後に数字を入力することで、自動工具交換装置(ATC)や刃物台から数字に該当する切削工具を呼び出します。
Gコードを勉強するには
専門的な知識が必要なGコードの勉強をするためには2つの方法があります。
1.工作機械に付属されているマニュアルを見て勉強する
工作機械に付属されているプログラミングマニュアルを見ながら学習します。
メリット
工作機械特有のGコードも記載されているので、設備されている機械に合った学習ができます。
デメリット
使用できるGコードすべてが記載されているので、自社で使用する実務的な工具の動きや流れがシミュレーションできません。
2.Gコードシミュレーターをパソコンにインストールして勉強する
Gコードシミュレーターと呼ばれるソフトウェアをパソコンにインストールして、パソコンの画面上で工具の動きやGコードの流れを確認します。
タクテックスのWinVIEW V4では、「NCコードヘルプ」という機能が搭載され、一般的によく使用されるGコードやMコードなどの説明画面を表示することができます。また、工具軌跡の確認ができ、どのような動きをするのかをシミュレーションすることができます。
Gコードの勉強ができるソフト WinVIEW V4
メリット
実際のNCプログラムをシミュレーションできるので、実務的な学習ができます。
デメリット
工作機械特有のGコードや深掘りした説明機能は搭載されていません。