5軸加工おすすめCAMは?機械仕様の確認事項についても解説

5軸加工おすすめCAMは?機械仕様の確認事項についても解説

「5軸加工機を導入する予定はあるものの、CAD/CAMはイマイチわからない」ということはありませんか?
工作機械については過去に設備実績があったり、担当営業が仕様を教えてくれることも多いですが、CAD/CAMは頻繁に導入するものでもなく、どんなソフトを選べばよいかわからないという方も多いです。

本記事では、CAMメーカーでありながら機械加工も行うタクテックスが5軸加工のメリット、SolidCAMが5軸加工機でおすすめな理由、そして工作機械の仕様で付けたほうがよいオプションを解説します。

タクテックスの加工事例はこちら

割り出し5軸と同時5軸

5軸加工は大きくわけて「割り出し5軸」と「同時5軸」があります。CAM選定においても、割り出し5軸と同時5軸どちらに主軸をおくかでCAMオプションや価格も変わります。

割り出し5軸(固定5軸、多面加工)

ワークの段取り替え回数を減らす「工程集約」で5軸加工機を活用する場合は、割り出し5軸加工です。
"X/Y/Z""A軸(B軸)/C軸"をそれぞれ独立して動かします。

「3軸加工」→「付加2軸で割り出し」→「3軸加工」→「付加2軸で割り出し」

というように動き、5軸すべてが同時に動く動作はしません。「固定5軸」「多面加工」とも呼ばれます。

割り出し5軸の動き

同時5軸

割り出し5軸加工に加え、5軸すべてが同時に動く加工です。5軸加工のメリットを充分に活かすことができます。
"X/Y/Z"に加え、"C軸"のみを同時に動かし、同期させることを「同時4軸」とも呼びます。

同時5軸の動き

CAMの選定で重要な割り出し加工機能

こちらの加工ワークは、タクテックス岐阜テクニカルセンターにてSolidCAMで5軸加工した干支シリーズの「辰」です。

辰の5軸加工ワーク

タクテックス 干支シリーズ 「辰」

一見「同時5軸フル活用!」に見えますが、実はCAM操作において80%以上が割り出し加工で構成されています。

5軸加工機を設備する製造業でも、仕事の中で同時5軸加工が必要になるのは一部という企業が多くを占めます。「5軸加工」と聞くと、各メーカーの展示会やプロモーションビデオのイメージが先行し、CAM導入前は、未知の世界である「同時5軸」にフォーカスされることが多いですが、80%以上を占める割り出し加工をいかに効率的にプログラミング、加工するかは非常に重要で盲点となりやすい部分です。

5軸加工のメリット

5軸加工のメリットを紹介します。CAMオプションによって、これらのメリットをどこまで活かせるかは変わってきます。

ワークの段取り替え回数を減らせる

5軸加工ではワークをテーブルに一度取り付けるだけで、さまざまな角度の面を加工することができます。
3軸加工では加工が終わり、ワークの側面や傾斜部分を加工するのにワークを取り付け直す作業(段取り替え)を何度も行う必要がありますが、5軸加工であれば、ワンチャッキングで加工ができます。段取り替えのたびに治具を用意したり、人が作業に介入する必要がなくなるため、生産コストの削減にもつながります。

これは多くの5軸加工機で一般的に活用されている代表的なメリットです。

5軸加工でのワンチャッキング加工

 

能率的な加工方法で加工時間を短縮できる

スワーフ加工 : エンドミルの側面を使用して能率加工

エンドミルの側面を使用してテーパーなど傾斜部を効率的に加工することができます。
3軸加工では、ボールエンドミルを使用してピッチを細かく切り込みながら傾斜面を仕上げるため加工時間が掛かります。(左図)5軸加工では、面の傾斜角度に沿わせて工具軸を傾斜させ、エンドミルの側面を使用して効率的に加工できます。(右図)

3軸加工に比べ、加工時間を大幅に短縮することが可能です。

5軸加工で工具側面を使用して加工ができる

 

バレル工具/レンズ工具 : 大きなRがついている工具で加工

バレル工具、レンズ工具など5軸加工で威力を発揮する大きなRがついた工具を使用することができます。

バレルエンドミルの図

これらの工具を活用することで、CAMが生成するツールパスの加工ピッチを大きくすることができ、仕上げ加工の時間を短縮することができます。ボールエンドミルで加工する場合、工具半径で加工するため、狙った面品位に加工するために加工ピッチを細かく刻む必要があります。(左図)このボールエンドミルで切削した際にできる一番高いところと低いところの凹凸の差を「スキャロップハイト」または「カスプハイト」と呼び、凹凸が小さいほど面品位が向上します。

大きなRがついているバレル工具、レンズ工具では、ツールパスの加工ピッチを大きくしても小さいスキャロップハイトになるため効率よく加工ができます。(右図)

ボールエンドミルとバレルエンドミルの加工ピッチ比較

 

ボールエンドミルの先端部分を使用することなく切削できる

3軸加工で加工する場合、ボールエンドミルの先端かつ中心に近いポイントで切削するため、周速が0近くなり加工面がむしれた状態になります。(左図)
5軸加工では、工具を傾斜することで切削効率の良いポイントで切削できるようになり、高品位な加工面に仕上げられます。(右図)5軸加工で周速ゼロ点を回避

 

工具の突き出しを短くして剛性の高い加工ができる

5軸加工により工具を傾けることで、ホルダからの工具突き出し量を短くして加工することができます。
深いワークを加工する場合に、3軸加工では干渉を考慮しながらホルダからの工具突き出し量を長くすることが必要です。(左図)5軸加工により傾斜軸を傾けることで工具突き出し量を短くして加工することができるため、剛性の高い加工ができます。工具突き出しが短い5軸加工と工具突き出しが長い3軸加工比較

"突き出し長さを20%短くすれば、たわみ量は50%削減できる"

引用: 株式会社牧野技術サービス 様「深ほり加工時の加工方法改善(長い工具の考え方)」より

 

3軸マシニングで加工できない部分が加工できる

機械的な制約や干渉によって3軸マシニングセンタでは工具が届かず削れない部分を5軸加工では切削できるようになります。
従来対応できなかった複雑な加工が自社にて対応できるようになります。

5軸加工

5軸加工で代表的なマルチブレードの加工

 

 

おすすめCAMシステム SolidCAM

5軸加工機を活用するためのおすすめCAMシステムはSolidCAMです。SolidCAMは、同時5軸加工だけではなく、穴あけや輪郭加工などの2次元加工、曲面や3次元形状を加工する3次元加工など割り出し5軸機能も充実しているので

「毎回同時5軸の仕事ばかりではないけど、工程集約をメインに5軸加工機を活用し、同時5軸の仕事を取っていきたい」

という企業におすすめです。SolidCAMがおすすめな理由を解説します。

1.5軸加工機の特性を活かした荒加工ができる

5軸加工機は、3軸加工機に比べ軸数が多く機械構造が複雑になるため、剛性が低く重切削には向いていません。SolidCAM独自の高速高能率加工であるiMachining(アイマシニング)を使用することで加工時間の短縮と刃持ちの向上ができます。
高速高能率加工は、NCプログラムの追従性がよい5軸マシニングの特長を活かすことができます。

 

▼ 高速高能率加工の考え方はこちら

CAMソフト導入で加工時間を70%短縮!高能率加工の考え方を解説

2.CAD機能がSOLIDWORKSであるため、モデルの修正と治具配置が簡単

5軸加工では、3D CADモデルの面を延長、修正する作業や干渉チェックのために治具などを配置する作業は頻繁に発生します。
SolidCAMは、機械系3次元CADでもっともシェアの高いSOLIDWORKSにアドインして動くCAMシステムで、CAD機能はSOLIDWORKSそのものです。使いやすく、アセンブリ機能(組み合わせ)が充実しているため、CADソフト⇔CAMソフトの行き来なく5軸ツールパスが作成できます。

 

▼アドインCAMについてはこちら

アドインCAMとは?アドインCAMのメリットを解説

 

5軸加工で必要なモデルの修正

同時5軸加工では、3軸加工と違い、CADで加工面を伸ばしたり、分割する作業が多くなります。
SOLIDWORKSの強力なCAD機能で5軸加工における面の修正をサポート
します。面を修正するために、別のCADソフトを起動して、中間ファイルに変換して、CAMソフトで読み込み直して…という作業は必要ありません。

加工面の修正

CAD⇔CAMの行き来なく面の修正が可能

 

機械干渉しないために必要な治具配置

5軸加工では、XYZ軸の他に付加2軸が動くため、実機で稼働させる前にCAMソフト内で干渉チェックが必要です。干渉チェックを正確に行うためには、CADのアセンブリ機能による治具配置が必要で、操作が簡単かつ機能が充実していないとオペレーション時間が長くなってしまいます。

SolidCAMは、設計としても高いシェアを誇るSOLIDWORKSのアセンブリ機能を使用して治具配置することで簡単で正確な干渉チェックができます。

治具をアセンブリ機能で配置

治具メーカーウェブサイトから取得した3Dデータの配置も可能

 

3.割り出し5軸加工でも3軸加工と同じ操作性で使用できる

割り出し5軸加工でも3軸加工と同じ操作性で使用することができます。5軸だからと割り出し角度の計算やワーク座標系の設定などオペレーター側が考慮する必要はありません。3Dモデルから、加工するための角度やワーク座標系のシフト量をCAMが自動計算します。

SolidCAMは割り出し5軸でも3軸と同じ操作

4.マシンシミュレーション

マシンシミュレーションとは、デジタル(CAM)上で工作機械の動作をシミュレーションする機能です。
工作機械の軸仕様やストロークなどをポストプロセッサで登録することで実機に近いリアルなシミュレーションを行い干渉確認ができます。

SolidCAMのマシンシミュレーションは、2つの特長があります。

CAM設定をしながら工具の寄り付きやストロークリミットの確認ができる

SolidCAMは工作機械の3Dデータを別ウィンドウで表示させながらCAM設定ができる「マシンプレビュー」機能が搭載されています。

5軸加工のNCプログラム作成をする場合、CAMの仕事はツールパスを作成するだけではありません。ホルダや治具、テーブルや主軸など機内にある構成物を把握して干渉しないNCプログラムを作る必要があります。治具の位置や工具突き出し量などマシンシミュレーションでシミュレーションしながらトライ&エラーを繰り返す作業があり、毎回CAMの"シミュレーションモード" → "CAM設定" → "シミュレーションモード" → "CAM設定”を繰り返すと操作が煩雑になりプログラム作成に時間が掛かります。

SolidCAMは、CAMを操作しながらデジタル上で工具の寄り付きやストロークリミットが確認できるため、プログラム作成が効率よく行えます。

マシンプレビュー機能でCAM設定と3Dマシンデータが連動

3Dマシンデータを参照しながらCAM設定が可能

 

門型加工機、横型マシニングのW軸が制御できる

門型加工機や横型マシニングには、"第2運動軸"とも呼ばれるW軸、V軸などが搭載されている機械があります。
SolidCAMは、W軸、V軸など第2運動軸もCAMで制御することができ、剛性の高い機械加工が可能になります。

Z軸の値をV軸に変換

Z軸の切り込みをV軸に変換して剛性の高い加工を実現

 

工作機械の仕様で確認するべきこと

5軸加工機の導入にあたり機械仕様、NC仕様で付いていると便利な機能を紹介します。
最近の機械では、「5軸パッケージ」として標準搭載されていることも多いですが、旧型5軸加工機や付加軸テーブルを後付けする場合にオプションがついていない場合があります。

傾斜面割り出し指令

割り出し5軸加工で傾斜面を加工する場合、NC制御装置で「傾斜面割り出し指令」が指令できるとプログラミングが簡単になります。

傾斜面割り出し指令(G68.2)と合わせて、CAMが計算したワーク原点のシフト量と座標系の角度をNCプログラムとして出力することで座標平面や工具軸を意識することなく、NCプログラムを作成することができます。

 

NC制御装置別の指令名
NC制御装置 指令名 指令コード
FANUC 傾斜面割り出し指令 G68.2
OSP 傾斜面座標変換指令 G469
MAZAK 傾斜面加工モード G68.2
brother 傾斜面座標設定 G68.2
HEIDENHAIN PLANE 機能 PLANE SPATIAL
SIEMENS テクノロジーサイクル:旋回 CYCLE800

※仕様や用途によって別の指令コードを使う場合があります。

工具先端点制御

同時5軸加工をする場合、「工具先端点制御」オプションをつけることをおすすめします。

傾斜軸、回転軸がどの角度になった場合でも、機械側で工具先端を追従させる機能です。工具先端点制御のオプションが搭載されていない場合、CAMやポストプロセッサで対応することも可能ですが、プログラムが分割されたり、送り速度の制御が複雑になることで、加工精度に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

マシンシミュレーション用の3Dモデルデータ

マシンシミュレーションで使用する工作機械の機内 3D CADデータ、またはSTLデータを工作機械メーカーから取得します。旧型の機械の場合、3Dモデルの取得に時間が掛かる場合がありますので、CAD/CAMでマシンシミュレーションを検討している場合、早いタイミングでメーカーに確認することをおすすめします。

 

まとめ

  • 5軸加工機用のCAD/CAMは、割り出し加工の操作性や機能も重要
  • 高能率加工で荒加工すれば5軸加工機の特性を活かせる
  • 加工面の修正作業が多くなるため、強力なCAD機能が必要
  • 5軸加工機検討の際は、「傾斜面加工指令」「工具先端点制御」「機内の3Dモデルデータ」の確認を

タクテックスは、機械加工を行うCAMメーカーとして日々5軸加工の検証も行っております。5軸加工用CAD/CAMを検討の際は当社までお問い合わせください。

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